【自販機コラム】第5回 お酒自販機と年齢識別装置

こんにちは。自販機SHOPの中の人である楠本です。

最近は「ホテルのフロアに設置されたお酒の自販機」がSNSで話題になっていますね。
無人販売の進化とともに、法規制とのバランスがますます重要になってきていると感じます。


お酒の自販機はどこへ行った?

かつては街角や駅前など、さまざまな場所で見かけたお酒の自販機。
しかし現在では、その数は激減しています。背景には、2006年の酒税法改正があります。
この改正により、年齢確認ができない従来型の酒類自販機は新規設置ができなくなり、既存のものも順次撤去されていきました。

現在、日本国内で新たに設置できるのは「年齢識別装置付きの改良型酒類自販機」のみです。
この装置は、運転免許証やマイナンバーカードなどのICチップを読み取ることで、購入者の年齢を自動判定し、未成年者の購入を防止します。


年齢識別装置の仕組みと役割

年齢識別装置は、無人販売における「信頼性の担保」として非常に重要な役割を果たしています。
購入者がICカードをかざすと、機械が年齢情報を読み取り、20歳以上であれば販売が許可される仕組みです。
これにより、販売者がその場にいなくても、法令を遵守した販売が可能になります。

また、販売記録の保存や、販売時間の制限設定なども可能で、地域の条例や施設の運用方針に柔軟に対応できる点も評価されています。


設置には免許と条件が必要

お酒の自販機を設置するには、「一般酒類小売業免許」が必要です。
さらに、設置場所にも制限があり、基本的には酒販店の敷地内や、ホテル・旅館などの宿泊者専用エリアに限られます。
これは、未成年者のアクセスを制限するための措置であり、公共の場への設置は原則として認められていません。


技術とルールの両立がカギ

お酒の自販機は、技術の進化によって再び注目を集めつつあります。
特に、ホテルや温泉施設などでは「非対面・非接触」での販売ニーズが高まっており、年齢識別装置付きの自販機はそのニーズに応える存在です。

一方で、法令遵守や社会的責任も重要です。
自販機の設置・運用には、技術だけでなく、ルールやモラルへの配慮が欠かせません。


まとめ

お酒の自販機は、かつての「便利な販売機」から、「安心・安全な無人販売ツール」へと進化しています。
年齢識別装置の導入により、法令を守りながらも、ユーザーにとって便利なサービスを提供できる時代が到来しています。

次回は「たばこ自販機」について書いてみます。どうぞお楽しみに!